どうも、ジスさんです。
学生時代俺はいくつかのアルバイトを経験した。
レンタルビデオ屋、ネカフェ、アパレル、ゲーセン等々。
今回は表題のとおりであるが、俺が人生初のアルバイトをした時の話である。
大学に入学してから半年頃経過した18歳の夏。
ゲーセンに行く金を増やしたい。アニメのDVDやグッズを買う量を増やしたいがためにバイトをすることにした。
人生初のバイトは、深夜のカラオケ店でのバイトだった。
深夜のカラオケ店を選んだ理由は、平日の深夜は暇そうだったから。そしてラブホに行く金のないカップルがカラオケの部屋内でイチャコラしている光景を拝むことができるのではないか。
ただそれだけだ。
今でこそ仕事は暇よりは忙しいほうが好きな俺であるが、当時の頭からチューリップが2本くらい生えてるミジンコレベルの脳みそをお持ちの当時の俺は、平日の夜は暇そうだから、そして自分の性欲を満たしたい、という安直で童貞確率3億パーセントな理由だけで深夜のカラオケを選んだのだ。
ちなみに土日祝日の深夜は忙しそうだから、という理由で平日の夜しか入れませんと店長に言っていた。この時点でわりとクズである。
バイト初日。
適当に自己紹介を終え、俺がGLAYのTERUに似ている。女にモテそう。歌がうまそう。
といった他のスタッフの意見が飛び交った。
慎重な協議の結果、俺のあだ名は童貞になった。
最初のTERUに似ているくだりやモテそう歌がうまそうのくだりはなんだったんじゃい!!と俺の脳内でツッコミを入れておいたが、当時俺は地獄先生ぬーべーもびっくりのバリバリ童貞No1だったので、童貞という一般的に不名誉なあだ名を気にはしていなかった。
さて、平日の深夜のカラオケ店というのはそれはそれは暇なのだ。
客からフードやドリンクのオーダーがあったらブースに持っていくだけ。それ以外はキッチンの椅子に座って携帯をいじったり他のスタッフと雑談をするだけだった。
何回かオーダーがあったが、普通にドリンクを持っていくだけですぐに慣れた。
こんな楽な作業で金が貰えるなんて天国だなぁと思っていた。
しかし事件が起きる。
ドリンクのオーダーが入った。俺は何の迷いもなく部屋に持っていくことにした。
ドアをノックし部屋を開けると、イカつい見た目の兄ちゃん8名がドンちゃん騒ぎをしていた。
ヒップホップなのかラップなのかレゲェなのか、そして日本語なのかどうかすらわからない謎の曲を2人が熱唱しており、残りの6人はその曲に対して
「YEAHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!」
「HERE WE GOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!」
「チェケラアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!」
「ブンブンスカブンブンクチュクチュ!!!!!!!!!!!!」
「ビートボックスイェェェェエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!」
といった謎の合いの手で盛り上がっていた。
控えめに言って地獄絵図だった。
さっさとドリンクを置いて部屋を出よう。
そう決心した。
ヤンキー『もしよかったら店員さんもなんか歌ってくださいよwwwwブンシャカブンwwww』
き、き、き、き、きたあああああぁぁぁぁwwwwww
これが噂のムチャブリというやつか。噂には聞いていたが本当に実際にこんなことがあるのか。ていうか初日ですげぇヒキしてんな俺。
いやマジどうしようこれ、このムチャブリを断ってさっさと部屋から出たい。
そもそも客からムチャブリされた時どうしたらいいかなんて教わってないし、歌ったほうがいいのか断ったほうがいいのかもわかんねぇよ、ていうかこの状況めちゃくちゃ断りにくい、断ったら何されるかわかんねぇし、店の信用にも響くだろうし、ネットにここのカラオケ店接客態度ゴミすぎワロタwwwって書かれたら俺の今後の査定にも響くし、でも歌うって言っても何を歌えばいいんだ、このなんちゃってヒューマンビートボックスの群集の前で歌う曲なんてねぇよ、こちとらアニソンかエロゲの曲しか知らねぇんだわ、ママの影響で宇多田ヒカルと倉木麻衣はわかるけど、明らかにこのタイプの群集の前で歌う曲選じゃねぇんだわ、こいつらの前で七回目のベルで受話器取らねえし、仕事にも精が出ないし、アスファルトも照らさねえし、涙も強がりも投げ捨てることできねぇんだわ。逃げ出したいこの場から今すぐ逃げ出したい、ていうかなんでバイト初日にこんな自問自答してんだ俺、まさにsecret of my heartじゃん、疑ってもないんだわ、どうしよ歌うしかねぇのか?考えろ考えるんだ童貞。こいつらが知っているだろうアーティスト、こいつらが好きであろうアーティストを考えろ。きっと何か突破口があるはずだ。
その時、ジスさんに電流走る!!!
こいつらのようなイカツい見た目の男が好きなもの。
それは女だ。
しかもとっておきの美少女だ。
いた…こいつらに認められる俺が唯一詳しい美少女が。
俺『では一曲だけ失礼します』
俺はデンモクでとある楽曲を検索する。そして曲を転送。
画面に出でたるは、小倉優子『ビタミンLOVE』の文字。
そう。ゆうこりんは美少女だ。
以前の記事にも書いたが、俺はゆうこりんがこりん星時代、熱狂的ファンだった。
おそらく俺がアイドルに興味を持ったのは過去を遡ってもゆうこりんだけだろう。
小学校6年生の誕生日プレゼントはゆうこりんの公式ファンクラブの入会金と年会費だった。
これは完全に自慢だが、公式ファンクラブ”Famiりんこ”の会員番号は一桁だった。会員証を紛失してしまったのが心残りすぎる。
ゆうこりんの魅力はルックスももちろんだが、一番はあの絶妙な下手さ加減の歌にある。そしてその楽曲がどれも素晴らしいのだ。
ゆうこりんだからこそ出せるあの絶妙な下手さ加減と楽曲の素晴らしさの見事な融合。
俺が中学時代、クラスメートにゆうこりんの楽曲について熱く語ったことがあるが、とある友人は言った。
『たしかに曲はいい。しかしこの楽曲はゆうこりんでなくてもいいのではないだろうか。』
甘い。甘すぎる。
あの楽曲たちはゆうこりんでないと駄目なんだ。
”私はこんな歌本当は歌いたくないけど、事務所の方針だから仕方なく歌っていますオーラ”が隠し切れていないゆうこりんでないと絶対に駄目なんだ。
俺たちファンは知っている。
本当はゆうこりんがあの楽曲を歌いたくないことなんて。
でもあの楽曲たちはゆうこりんが歌っているからこそ応援できた。ゆうこりんが歌っているからこそ振付も完璧にマスターした。ライブにだって行った。
それこそがゆうこりんの熱狂的なファンだった証。
ちなみに俺のゆうこりんの好きな曲ベスト5は
1位.ビタミンLOVE
2位.恋のシュビドゥバ
3位.まっしろ
4位.胸のRingtone
5位.永遠ラブリン
である。
俺は完璧な振付とともにイカツい兄ちゃん8人の前で、ゆうこりんの”ビタミンLOVE”を完璧に歌い切った。
最初は笑っていた兄ちゃんたちも2番のAメロに突入したころには
『YEAHHHHHHHHHHHHH!!!HERE WE GOOOOOOOOOOO!!!』
などの合いの手を入れてくれ、俺とイカツい兄ちゃんたちは一体となった瞬間だった。
曲が終わった瞬間拍手喝采。
YoYoYo!!俺の喉の調子絶好調!イカツい兄ちゃんたちのビートも最高潮!!偶然俺はお前らに出会い!!お前らに刻んだ俺とゆうこりんの愛!!ヘイカモンチェケラ!!
イカツい兄ちゃんたちの部屋を後にし戻ると、他のスタッフにヤケに時間がかかったねと言われたため、
「一曲歌えって言われたから小倉優子のビタミンLOVE歌ってました」
って言ったら
「基本客にムチャブリされたらスルーでいいんだよ何歌ってんだよてめぇ」
と若干キレられる始末。
その後、副店長に謎の腕相撲対決を挑まれ、貧弱だとバカにされめんどくさくなって人生初のバイトであるカラオケ店を俺は一日で辞めた。
一日でバイトを辞めるやつはたくさんいるだろう。
しかし初日に童貞というあだ名をつけられ、イカツい兄ちゃん8人とゆうこりんのビタミンLOVEで熱いビートを刻み合い、一日で姿をくらましたやつはそうそういないだろう。
皆も仕事先やバイト先で理不尽なことはあるだろう。
そんな時はこの記事を思い出すんだ。
そして皆でビートを刻み合えば世界は平和!!2020年は令和!!オリンピアはHEIWA~!!!!!!!Yeah!!!!!カモーン!!!!!!
うん。
何が言いたいかというとカラオケ行きたい。
以上です。ご清聴ありがとうございました。