欲にまみれたら痛い目を見る。これすなわち世界の真理。

面白い話

どうも、ジスさんです。


クソほど暑い日が続くし、相変わらず外で全裸になれない現実に憤慨している俺だが、最近のマイブームは”何も予定がないときに近所の公園のベンチに座ってただボーっとすること”である。

だいたい何も予定がないので24時間年中無休で公園でボーっとしているのだが、それは俺の名誉のためにここでは深く触れないでおくこととする。



先日公園内にある自販機でコーヒーを買おうとしたときに10円を落としてしまい、自販機の下に10円が潜り込んでしまった。

この時残金130円。


自販機のコーヒーを買うギリギリの金額しか所持していないハイパーアルティメット貧乏人ジスさんにとって落とした10円は死活問題である。



下をのぞき込むと自販機の遥か奥に銅色に輝く俺の10円が光り輝くのを見つけた。




頑張って手を伸ばせば届くかもしれない。

何とかして10円を救出してコーヒーを飲みたい。




ただ、いい年したおっさんが自販機の下に手を伸ばす姿ほどみっともない姿はない。





いいじゃないか10円くらい。

いいじゃないかコーヒーくらい買えなくたって。

俺はもう大人なのだ。10円くらいでガタガタ言っているんじゃない。





そう自分に言い聞かせ、俺は自販機の下の隙間に手を伸ばした。






腕をつった





自販機の下の10円を救出したいという欲VS腕に流れ込む激痛をどうにかして抑えたいという欲。


欲と欲のぶつかりあい。

意地と意地のぶつかりあい。

ブルブルアイアイブルベリアイ。



どちらも捨てきれないわがままボーイな俺は、“自販機の下に手を伸ばし、いてぇぇぇぇえ!!!と力ない声をあげる”という奇怪な行動に出た。



寄声をあげながら約一分間が経過した頃だろうか。

ようやく痛みがひき、咆哮を上げる必要がなくなったころ。



周りを見渡すと、少し離れたところに麦わら帽子をかぶり虫鳥網と虫取かごを持った推定年齢8歳、クラスでのあだ名はおそらく”ルフィ”もしくは”田中”、好きな教科は国語っぽい少年がこちらを見ていた。





なんだなんだ、このガキは。

俺の近くに珍しい虫でもいるのだろうか。


はっはっは、わかるぞ少年。

俺も昔はよくこの時期になると網とかごを持ってセミやバッタなどを採取に近所の公園を走り周ったもんだ。

そして見たことのない虫を発見したら即座に近寄り心を躍らせていたもんだ。

きっと少年も今その境地に立たされているに違いない。




はっはっは、どこだ少年。
見たことのない珍しい虫はどこだ~




しかし少年の様子がおかしい。

ふつう珍しい虫を見たら、その虫を見るはずだ。

しかし少年の目は紛れもなく俺を見ている。







そりゃそうだ。

自販機の下に片腕つっこんだおっさんが謎の奇声をあげているんだから。


自販機の下に腕をつっこんで謎の雄叫びをあげているおっさんが普通なはずがない。




まさに俺が世にも珍しい害虫だったのだ。

よかったな少年よ。

お前の今年の夏休みの自由研究のテーマは“平日の真昼間から自販機の下に片腕突っ込んで奇声をあげるおっさんの生態について”で決まりだな。



めでたしめでたし。






いやぁ、あれだね。

10円くらい気にしない大人な男になりたいね。


あと引越しの準備が全然終わりません。

現場からは以上です。


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