精子君の成り上がり物語〜Ep.1決意〜

ショートエッセイ

「おい聞いたか。タクヤのやつ新しい女できたんだってよ。」

「あぁなるほどな。どおりで最近タクヤの精子がここにきてないわけだ。」

「ケンジの精子も最近見てねぇな。きっとケンジにも彼女ができたんだな」

「タクヤとケンジの精子は今頃ゴムボートの中かぁ。」

「あぁーあ。俺のご主人もそろそろ女作ってほしいよ。このままじゃ一生着床どころかゴムボートにすら乗れねぇよ。」


ここはゴミ処理場。

虚しき男たちの煩悩の慣れの果て。
それがゴミ処理場である。

そんな物騒な場所で会話をしているのは、ティッシュにくるまれた無数の精子君たちだ。


各家庭で男性が欲望のままにオナニーをし、無残にティッシュにくるまれ、ゴミ箱へと捨てられる。そしてそのティッシュがこのゴミ処理場へと運ばれている。精子たちの最後の居場所。

行き場をなくした精子君たちは、今日もゴミ処理場でご主人の愚痴を溢している。


???「おーーい!!おまえらーー!!!久しぶりー!!!」


「あ!!」


声の主は先日ご主人に彼女ができたと噂のケンジ君の精子だった。

ケンジ君の精子はゴムボートの中でティッシュにくるまれた精子たちを嘲笑う。


ケンジ君の精子「おまえらまーだティッシュが住処かよーwwwいいぜぇゴムボートは〜www」


このゴミ処理場にはランクが存在する。

もっともランクが高いのはこのゴミ処理場に現れないこと。

それすなわち女性の膣内で部屋を作り住み着くこと。着床を意味している。

このゴミ処理場では着床した精子君のことを”神”として崇めている。


次点でゴムボートの中にいる精子たち。ゴムボートとは現実世界で言うならコンドームである。

このゴミ処理場ではコンドームはゴムボートと呼ばれ精子君たちにティッシュとは違った快適な生活を与える。ゴムボートの中にいる精子君は、もれなくご主人がセックスをしたということが証明され、ご主人の素晴らしさも同時に認められる。

ゴムボートの中にいる精子君は、謂わばエリート集団。高学歴。高収入。バーニラバニラ高収入。


そしてもっともランクとして最下層にいるのが、ティッシュにくるまれた精子たち。

彼らはご主人の欲望のままに吐き出され、射精後すぐにティッシュで処理され捨てられる。

謂わば”望まれない精子たち”

望まれない精子たちゆえ、この場所ではもっともランクが下の存在だ。ゆえにゴムボート民からは小馬鹿にされ、着床民からは相手にされることはない。


ゴミ処理場にいないか。ゴムボートか。ティッシュか。という場所によって全ての身分が決まる。それが精子君の世界。

つまり精子君たちのヒエラルキーは、このゴミ処理場という場所においてご主人が全てなのである。


ティッシュ精子A「おい見たかよ。ケンジの精子のやつ。あんなにゴムボートの中ではしゃいじゃってさ。いいよなぁ。」

テイッシュ精子B「ムカつくぜ。ちょっとご主人がヤリチンだからっていい気になりやがって。」

ティッシュ精子A「しかたねぇよ。この世界ではご主人の行動が全てだ。ご主人の行動によって俺たちの生活は激変するんだ。」

ティッシュ精子C「まぁ気楽に行こうや。ティッシュ暮らしも悪くねえ。」

ティッシュ精子B「だな!!さぁ今日も安いカップ酒飲んでティッシュに包まれて眠るとしますか。」




???「おまえら。悔しくないのか?」

声をあげたのはティッシュ精子歴最多を誇る長老的存在、コウヘイ君の精子だった。

ティッシュ精子A「コウヘイよ〜気持ちはわかるが俺たちは精子だ。俺らの力じゃどうにもならねぇ。」

ティッシュ精子C「そうだよ。全てはご主人の頑張り次第。俺も3年前まではゴムボート精子だったが、ご主人が女と別れてからはずっとこのティッシュ暮らしだ。俺のご主人はもう恋愛する気もなさそうだし永遠にティッシュ暮らしよ。」

ティッシュ精子A「そういうことよ。諦めてコウヘイも寝ることだな。」


コウヘイ君の精子「俺はもううんざりだ。このティッシュの生活なんて。俺がご主人を説得してみせる。」

ティッシュ精子A「バカかおめぇはwww俺たちゃ精子だぞ精子!!言葉も喋れねぇ!!ご主人のチンコから勢いよく出てくることしかできねぇんだよ!!」

ティッシュ精子B「コウヘイの精子は一度もゴムボートすら乗ったことねぇからな。憧れる気持ちもわかるが、俺たち精子にできることはないぞ。」


???「いや、案外そうでないかもしれない。」


声をあげたのはコウヘイ君の精子と同じく生まれてからティッシュの上でしか暮らしたことのない精子、ケイスケ君の精子だった。

ケイスケ君の精子はティッシュでしか暮らしたことないが、ご主人が金持ちのため毎日鼻セレブのティッシュに乗っているキザったらしいやつだ。

コウヘイ君の精子「ケイスケ君の精子!」

ケイスケ君の精子「コウヘイ君の精子の話は聞かせてもらったよ。そして僕もコウヘイ君の精子と同じ気持ちさ。」

ティッシュ精子A「おまえらの気持ちはわかるけどよ〜・・・俺たち所詮精子だぞ?何もできることなんて・・・」


ケイスケ君の精子「僕にはある。秘策がね。」


一同「!!!???」



続くかもしれないし続かないかもしれない。

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ショートエッセイ
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